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1.

論文

論文
安岡, 匡也
出版情報: 北九州市立大学商経論集 = The Review of business and economics.  pp.99-111,  北九州市立大学経済学会
URL: http://id.nii.ac.jp/1077/00000111/
概要: 2000年4月より始まった介護保険制度は、少子高齢社会の日本において給付の増大と財源の確保などいくつかの問題が生じている。本論文でははじめに日本の介護保険制度の仕組みと財政面から見た介護保険制度の現状を説明する。次に、介護保険制度については 多くの経済学的分析を行った先行研究が存在するが、介護保険制度を導入することによる経済学的なメリットとデメリットに分けて先行研究を体系的に説明する。さらに、先行研究で既に示された介護保険制度について分析した経済モデルをいくつか示す。介護保険制度は個人に発生する介護リスクを社会全体でプールすることによって、保険料負担によって厚生が引き下げられる一方で介護費用がなくなることによる厚生引き上げの効果が大きいため社会厚生を引き上げる効果を持つ。しかし、予備的貯蓄の減少や若年世代が社会保険料を負担することによる貯蓄の減少が資本蓄積を阻害し、生産性を引き下げることから賃金率などの所得を低下させることによる社会厚生を引き下げる効果も存在する。この後者の効果は介護保険制度の導入において十分に考慮されるべきものである。 続きを見る
2.

論文

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安岡, 匡也
出版情報: 北九州市立大学商経論集 = The Review of business and economics.  47  pp.47-59,  2012-03.  北九州市立大学経済学会
URL: http://id.nii.ac.jp/1077/00000120/
概要: 本稿は、少子高齢社会における最適な公的介護保険の規模を考察することを目的とする。具体的には、現実の経済状況から求めたパラメータを用いて、数値計算を行い、若年世代と老年世代に対する介護保険のための負担をどの程度に設定することが社会厚生の観点か ら望ましいのかを考察する。分析の結果として、次のことが明らかになった。小国開放経済においては、現実的な経済に基づいたパラメータの下では、老年世代に対する負担を増やして、若年世代に対する負担を減らすことが社会厚生の観点から望ましいことが明らかとなった。閉鎖経済においても、老年世代に対する負担の増加によって、社会厚生が増加する。さらに1 人当たり資本蓄積が増えるので、賃金所得を増やし、その効果を通じて社会厚生を増加させることが分かった。以上より、現在の介護保険制度の世代間負担比率を見直すことは社会厚生の観点から妥当であることが明らかとなった。 続きを見る