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1.
論文 |
田部井, 世志子
概要:
「個人は愛し合えない。」D・H・ロレンスはアポカリプスの中でこのような現代における個人の愛の不毛性の問題を世に投げかけてこの世を去った。われわれは彼のこの言葉をどう受け止めればいいのだろうか。おそらく人類が始まって以来、常に振り子のように揺
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れてきた人間存在の在り方──個人重視か集団重視か──についての議論を加えつつ、とりわけ個人主義が標榜される今日にあって、今一度真摯にロレンスの問題提起に耳を傾け、問題解決の一助──宇宙的大自然との一体化のうちに個人どうしの愛の可能性を見る──を彼の『アポカリプス』の中に探る。
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2.
論文 |
田部井, 世志子
概要:
生きるとは、愛するとはどういうことなのかを追究したD・H・ロレンスが死を前に達した結論は、人間は愛し合えないという悲観的なものだった。その原因を彼は多方面に求めているが、本稿ではとりわけ現代社会において重要視されているもの——「金銭、物質」
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、「知性、知識」、「機械」——に焦点を当て、ロレンスの言葉に沿ってそれらの問題点を明らかにした。「へそ曲がり」と言われそうなロレンスであるが、彼の主張には一理あるのではないだろうか。「絶望」という言葉はロレンスの辞書にはない。今後我々は、想像力を逞しくし、「優しさの勇気」を持ってお互いに「触れ合いの文明」を築く努力をすることで、希望は見出せるとロレンスは主張する。そのためにも、まずは「太陽と共に始めよ」という彼のメッセージは、現代に生きる我々にとっても重要なものであり、それは未来に通じると言えるだろう。
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