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Adventures of Huckleberry Finn における暴力描写の特質について--作品構造の統一性を巡って

フォーマット:
論文
責任表示:
前田, 譲治
言語:
日本語
出版情報:
北九州市立大学文学部, 2018-03
著者名:
前田, 譲治  
掲載情報:
北九州市立大学文学部紀要
ISSN:
13470728  CiNii Research  Webcat Plus  JAIRO
通号:
88
開始ページ:
53
終了ページ:
73
概要:
Adventures of Huckleberry Finn の主人公ハックが創出する嘘や想定には、自身が暴力によって殺害される状況を好んで提示しようとする一貫性が潜在している。しかし、このあり方は、非常に不分明で読者は把握しづらい。その上、ハックは暴力への鑑賞意欲が旺盛で、かつ、暴力志向を有している。しかし、これらの事実を判別し辛くする戦略的叙述も、ハックは一貫して展開している。以上の通り、一貫してハックは、自己に内在する暴力志向と、彼個人とを分断する叙述を展開している。ハ ック以外の登場人物に目を向けると、彼らが暴力行為に出る際には非個性化、匿名性の付与が一貫してなされている。固有名が明示されているシャーバンによるボッグズの殺害も、彼単独の行動としては位置付けられておらず、周囲の人々との共同作業の結果として提示されている。対照的に、暴力行為に出ていない登場人物の場合は、些末的な人物であっても固有名が一人一人に対して丁寧に付与され、徹底的に個別化されているケースが非常に多い。以上の作品の方向性を踏まえると、作中の暴力行為は個々人の個性の発露の結果としてではなく、場に存在している人々の総体的な行為として位置付けられていると考えられる。他方、現実の旧南部においては、暴力性の発露は住人の間に偏在している、極めて日常的な行動様式であり、この事実をトウェインは熟知する立場にあったことが、歴史的事実や作者の伝記から判明する。加えて、本作の執筆時にトウェインは、北部に移住し、南部とは異質なHartford の礼節が重んぜられる平穏な雰囲気の中で生活しており、南部の暴力に係る特質を客体視しうる立場にあった。以上から、本作の暴力描写は、作者の心象に基づいて、旧南部の現実が再現されている点にこそ、その本質が存すると結論付けた。 続きを見る
URL:
http://id.nii.ac.jp/1077/00000589/

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